にゃんことワンコ にゃんこなキミと、ワンコなおまえ 5の1 「つきあわせちまって悪かったなァ」「気にすんな。あいつらには、パーティーの準備が済むまで帰らねぇでくれって、言われてるからな。サプライズだから家にいられっと困んだとよ」 どこか浮足立った人波の流れに乗って、宇髄は傍らを歩く不死川に、ニッと笑... 2022.01.19 煉義義勇受にゃんことワンコ
煉義 青い炎 ハァッと長く吐き出された息が白い。剣を鞘に収めた煉獄の腕や肩、踏みしめた足からも、霞のような湯気が立ち上っていた。 横殴りの雨風が吹き荒れる早春の森は、空気もキンと凍りつくようだ。隊服や羽織をぐっしょりと濡らす雨は、戦闘であがった体温により... 2022.01.17 煉義義勇受
煉義 乱舞する深紅のラブシック 3 口に、なにか触れてる。とろりとした羊水のような眠りのなか、意識をゆらゆらとただよわせながら、義一はぼんやりと思った。 覚醒しきらないままに感じるなにかは、やわらかい。やわらかくて温かい、なにか。それと……気持ち、いい? これはなんだろう。 ... 2022.01.12 煉義義勇受
煉義 きっと寂しくて、熱い掌 スマホが鳴ったのは、義勇が寝支度を終えたときだった。 わざわざ呼び出し音を変えずとも、電話の主はわかっている。カレンダーの曜日は火曜。時刻は午後十一時。平日のこんな時刻に電話してくる男は、一人しかいない。 スマホの画面に映る名は確信と違たが... 2022.01.09 煉義義勇受
煉義 百年の約束は、いらない 部活を引退したら、放課後がずいぶんと暇になった。受験生なんだから勉強しろって話だろうが、やる気の出ない日だってある。たとえば、今日のような。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ すっかり人のいなくなった教室で、義勇はぼんやりと窓の外を見つめていた。... 2022.01.06 煉義義勇受
煉義 乱舞する深紅のラブシック 2 覚えているのは真っ赤な首輪。小さな金色の鈴がついた。「どうしたの、義一」「あのね、すごくかわいい猫の写真あるの。ホラ!」 幼稚園からの帰り道。笑った義一が指差したほうを見て、お姉ちゃんもニコッと笑い、そしてすぐに眉を曇らせた。「この子、迷子... 2022.01.03 煉義義勇受
にゃんことワンコ にゃんこなキミと、ワンコなおまえ 5の2 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ なんだか眩しい。 ふと浮き上がった意識が訴えるのに従い、杏寿郎は一度、ギュッと眉をしかめた。カーテンの隙間から差し込む朝日ほどには、眼球を刺激してこない光ではある。だが常の朝にはない眩しさは、閉じた瞼を透かして杏寿郎の覚... 2022.01.23 煉義義勇受にゃんことワンコ
にゃんことワンコ にゃんこなキミと、ワンコなおまえ 5の3 昨夜、意識が途切れる前に義勇が見つめ返した杏寿郎の瞳は、恍惚に蕩けてしたたり落ちてきそうだった。はちみつとラズベリーの色をした杏寿郎の瞳が、とろりと潤む様はやけに甘そうで、舐めたいと思ったのを覚えてる。 姉さんが作るラズベリーのはちみつ漬け... 2022.01.27 煉義義勇受にゃんことワンコ
煉義 乱舞する深紅のラブシック 1 とうとう買ってしまった……。というか、届いてしまった。 宅配の配達員が浮かべる笑みを見返せず、うつむいたまま無言で受け取りにサインする義一の手は、隠しきれぬほど震えていた。ほぼ仕送りに頼っている義一にとっては、分不相応すぎる高額商品だ。なに... 2021.12.22 煉義義勇受
にゃんことワンコ にゃんこなキミと、ワンコなおまえ 6の1 それは十二月に入ったばかりのとある朝のことだ。着信音とともにスマホに表示された名に、伊黒は思わずスマホを二度見し、ついで眉をひそめた。 画面に映っている名は『冨岡』という名字のみ。フルネームは冨岡義勇。下の名で呼んだことは一度もない。 即座... 2022.02.04 煉義義勇受にゃんことワンコ