大好きの・・・ 真白の雲と君との奇跡3 「ただいま戻りました! 義勇、上がってくれ!」 杏寿郎が玄関の引き戸をガラリと開けて言うと、キョロキョロと興味深げに周囲を見回していた義勇は、ピクンと肩を揺らせた。 先ほどまでは表情は乏しくともやわらかい雰囲気だったのに、門をくぐった辺りか... 2021.03.13 大好きの・・・煉義義勇受
大好きの・・・ 真白の雲と君との奇跡5 土曜も朝から晴れていた。陽射しはまだ午前中だというのにすでに強く、今日も暑くなるのは間違いない。陽射しだけ見れば絶好の海水浴日和といったところだろう。だが、流れる雲が早い。 出がけに見た天気予報では、早くも台風発生を告げていた。とはいえ、杏... 2021.03.16 大好きの・・・煉義義勇受
大好きの・・・ 真白の雲と君との奇跡6 駅を出て徒歩十分ほどにある目的地、こゆるぎの浜は、海水浴客でにぎわうエリアより北側に広がっている。漁港が近く、浜辺には砂礫が多く岩礁もあるせいか、海水浴客はあまりみかけない。磯遊びや、釣りを楽しむ人向けな浜辺だ。 海水浴のエリアは盛況なよう... 2021.03.16 大好きの・・・煉義義勇受
大好きの・・・ 真白の雲と君との奇跡7 困惑は杏寿郎の胸にどっかりと居座り、どうあがいても消えてくれそうにない。 どうにかなんでもないと笑ってみせたものの、あまり効果はないようだ。元々杏寿郎はごまかしたり嘘をついたりするのは得手ではない。しかも真っ赤に染まった顔も一向に熱が去って... 2021.03.18 大好きの・・・煉義義勇受
大好きの・・・ 真白の雲と君との奇跡9 一瞬の、脳髄が焼きつくされるような衝撃。それが冷めやらぬうちに、体は動く。 立ちあがったのは同時だった。 砂に足を取られ、つんのめるように走る。なぜこんなにもこの足は遅いのだろう。意識に追いつかない自身の体に憎悪すら浮かぶ。 千寿郎、千寿... 2021.03.20 大好きの・・・煉義義勇受
大好きの・・・ 真白の雲と君との奇跡10 ひとしきり千寿郎を抱きしめて泣いたあと、義勇はようやく顔をあげ、杏寿郎に向かって少しバツ悪げに笑ってくれた。 どうしようとうろたえていた千寿郎には悪いが、義勇が微笑んでくれて杏寿郎は胸を撫でおろす。ほんのちょっぴりのヤキモチは、決して口には... 2021.03.21 大好きの・・・煉義義勇受
大好きの・・・ 真白の雲と君との奇跡(加筆修正済みまとめ読みバージョン) 第1話 梅雨が明け、七月も半ば近くともなると、照りつける陽射しも強くなり暑さが増した。すっかり季節は夏だ。六月にはまだ出番が多かった長袖のシャツやベストも、七月に入ってからは目にするだけで暑さが増す感がある。 公私ともに服装はめっきり夏仕... 2021.03.21 大好きの・・・煉義義勇受
大好きの・・・ 満天の星と恋の光 3 真っ赤になって絶句している杏寿郎を、義勇と千寿郎がそろって不思議そうに見ていた。見やる視線はちょっと心配そうでもある。 だが、理由など言えるわけもない。杏寿郎自身、なににこれほど動揺しているのは、説明するのは困難だ。母だけが訳知り顔でクスリ... 2021.04.09 大好きの・・・煉義義勇受
大好きの・・・ 満天の星と恋の光 4 一風変わった光景となった昼食を終え、杏寿郎たちが部屋に戻ったときには、もう二時が近かった。いかに大食漢な杏寿郎でも、さすがに食べ過ぎの感がある。 それでもせっかくの義勇の手作り――義勇はちょっと手伝っただけだと言うけれど、杏寿郎にとっては義... 2021.04.11 大好きの・・・煉義義勇受
手袋を買いに行ったら 手袋を買いに行ったら番外編~大好きが生まれた日~3 「義勇さん、いってきます!」「まだ暗いから気をつけろよ」 お日様が昇るより早く起きた炭治郎は、今日も元気いっぱいです。今朝もまだまだ寒くて、吐く息だって真っ白に染まっています。でも義勇がくれた手袋をはめれば体も心もポカポカで、冷たい風だって... 2022.03.02 シリーズ・連載もの義炭手袋を買いに行ったら