大好きの・・・

小1と小2の冬に出逢った煉義から始まる、現パロ中学生煉義。たった一度逢ったきりの義勇さんのことが忘れられなかった煉獄さんが、中学に上がって義勇さんと再会した春からが本番です。うっすらと錆→義な表現もあります。

大好きの・・・

大好きのチョコ

節分が終った二月の商店街は、赤やピンクで溢れている。ランドセルを背負ったまま杏寿郎は、華やいだアーケードをウキウキと歩いていた。 商店街に杏寿郎がやってきたのは、今日で二度目だ。 前は七夕飾りが揺れていて、杏寿郎は、短冊書かせてもらった。そ...
大好きの・・・

大好きのチョコ(ロングバージョン)

※『800字分の愛を込めて』で書いたものに加筆修正したロングバージョンです  節分が終った二月の商店街は、赤やピンクで溢れていた。目に入るのは、そこここに飾られたピカピカしたハート型のバルーンやポップ、愛らしいラッピングのプレゼントを模した...
大好きの・・・

霞の空と海の青

「母上、やはり大きすぎるのではないでしょうか」 鏡に映した自分の姿は、どうにも服に着られている感が否めない。杏寿郎は、慣れぬネクタイを気にしながら言った。 四月初めの穏やかな午後の陽射しに照らされて、姿見に映る濃紺のブレザーにグレーのスラッ...
大好きの・・・

清かの風と小さな笑顔

空がだんだんと透明感を増して、吹く風も爽やかになってきた。季節は初夏。洗面所の窓から見える五月の空は晴れわたっている。清々しい朝だ。 中学生になった杏寿郎は、毎日、幸せいっぱいに学校に通っている。 そろそろ着慣れつつある制服は、まだまだサイ...
大好きの・・・

五月雨と君の冷たい手(前)

六月中旬ともなれば、すっかりクラスメイトの顔と名前も一致して、新しい学校での生活にもだいぶ馴染んできた。校内で迷うことも、もうめったにない。 初等部から高等部までが併設された一貫校であるから、中等部の生徒は、ほとんどが持ち上がり組だ。杏寿郎...
大好きの・・・

五月雨と君の冷たい手(後)

「さて、これから部活に出なきゃいけないんで、あまり時間がない。手短に済まそうか」  しとしとと降る雨のなか、錆兎は笑ってそう言った。 委員会が終わったと同時に錆兎にうながされ、連れだってやってきたのは、校舎の裏手にある大きな桜の木の下だ。放...
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真白の雲と君との奇跡1

梅雨が明け、七月も半ば近くともなると、照りつける陽射しが暑さを増す。煉獄家ではあまりエアコンを使用しないので、全教室にエアコン完備の学校のほうが、よっぽど過ごしやすい。 とはいえ、一歩外に出てしまえば暑いことに変わりはなく、昼休みに校庭では...
大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡2

その朝、杏寿郎は目覚まし時計が鳴るより先に、パチリと目を覚ました。 意識が覚醒したとたんに、ぶわりと体中に歓喜がわき上がって、跳ねるように飛び起きた杏寿郎は急いでカーテンを開けた。 いつでもスッキリと目覚める杏寿郎だが、今日は特別だ。勢いよ...
大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡3

「ただいま戻りました! 義勇、上がってくれ!」 杏寿郎が玄関の引き戸をガラリと開けて言うと、キョロキョロと興味深げに周囲を見回していた義勇は、ピクンと肩を揺らせた。 先ほどまでは表情は乏しくともやわらかい雰囲気だったのに、門をくぐった辺りか...
大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡4

義勇がやって来た翌日、杏寿郎は初めて義勇に電話した。 とはいえ、中学生にはまだ早いとの煉獄家の教育方針で、杏寿郎はスマホを持っていない。義勇がスマホを持っているのかも知らなかった。保護者に渡された連絡網に書かれた義勇の連絡先は、鱗滝家のもの...