現パロ

大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡3

「ただいま戻りました! 義勇、上がってくれ!」 杏寿郎が玄関の引き戸をガラリと開けて言うと、キョロキョロと興味深げに周囲を見回していた義勇は、ピクンと肩を揺らせた。 先ほどまでは表情は乏しくともやわらかい雰囲気だったのに、門をくぐった辺りか...
大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡4

義勇がやって来た翌日、杏寿郎は初めて義勇に電話した。 とはいえ、中学生にはまだ早いとの煉獄家の教育方針で、杏寿郎はスマホを持っていない。義勇がスマホを持っているのかも知らなかった。保護者に渡された連絡網に書かれた義勇の連絡先は、鱗滝家のもの...
Hello! my family

Hello! my family

バツイチ子持ちリーマン×苦学生な義炭。第1話。
大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡5

土曜も朝から晴れていた。陽射しはまだ午前中だというのにすでに強く、今日も暑くなるのは間違いない。陽射しだけ見れば絶好の海水浴日和といったところだろう。だが、流れる雲が早い。 出がけに見た天気予報では、早くも台風発生を告げていた。とはいえ、杏...
大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡6

駅を出て徒歩十分ほどにある目的地、こゆるぎの浜は、海水浴客でにぎわうエリアより北側に広がっている。漁港が近く、浜辺には砂礫が多く岩礁もあるせいか、海水浴客はあまりみかけない。磯遊びや、釣りを楽しむ人向けな浜辺だ。 海水浴のエリアは盛況なよう...
大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡7

困惑は杏寿郎の胸にどっかりと居座り、どうあがいても消えてくれそうにない。 どうにかなんでもないと笑ってみせたものの、あまり効果はないようだ。元々杏寿郎はごまかしたり嘘をついたりするのは得手ではない。しかも真っ赤に染まった顔も一向に熱が去って...
大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡8

オー、アーオアオと低く鳴くアオバトの声が、高鳴る波音に紛れて聞こえる。絶え間なく届いてくる海水浴客の喧騒や、ときおり入る水難事故への忠告を呼び掛ける放送は、今この空間、この時が、日常と切り離されたものではないのを知らせるのに、なんだかひどく...
犬も食わない

後朝

その夜のことを、無惨は、人生最良の夜と言ってやってもいいと思っている。少なくとも、義勇の安アパートに転がり込んだ後から、朝目覚めるまでの出来事に関しては。 正直に言えば、人生初の自転車の二人乗りや大衆食堂だって、いつか楽しく幸せな思い出とし...
Hello! my family

Hello! my family 2

第2話。 同居のなれそめ
大好きの・・・

真白の雲と君との奇跡9

一瞬の、脳髄が焼きつくされるような衝撃。それが冷めやらぬうちに、体は動く。 立ちあがったのは同時だった。 砂に足を取られ、つんのめるように走る。なぜこんなにもこの足は遅いのだろう。意識に追いつかない自身の体に憎悪すら浮かぶ。  千寿郎、千寿...