学パロ

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真白の雲と君との奇跡6

駅を出て徒歩十分ほどにある目的地、こゆるぎの浜は、海水浴客でにぎわうエリアより北側に広がっている。漁港が近く、浜辺には砂礫が多く岩礁もあるせいか、海水浴客はあまりみかけない。磯遊びや、釣りを楽しむ人向けな浜辺だ。 海水浴のエリアは盛況なよう...
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真白の雲と君との奇跡7

困惑は杏寿郎の胸にどっかりと居座り、どうあがいても消えてくれそうにない。 どうにかなんでもないと笑ってみせたものの、あまり効果はないようだ。元々杏寿郎はごまかしたり嘘をついたりするのは得手ではない。しかも真っ赤に染まった顔も一向に熱が去って...
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真白の雲と君との奇跡8

オー、アーオアオと低く鳴くアオバトの声が、高鳴る波音に紛れて聞こえる。絶え間なく届いてくる海水浴客の喧騒や、ときおり入る水難事故への忠告を呼び掛ける放送は、今この空間、この時が、日常と切り離されたものではないのを知らせるのに、なんだかひどく...
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真白の雲と君との奇跡9

一瞬の、脳髄が焼きつくされるような衝撃。それが冷めやらぬうちに、体は動く。 立ちあがったのは同時だった。 砂に足を取られ、つんのめるように走る。なぜこんなにもこの足は遅いのだろう。意識に追いつかない自身の体に憎悪すら浮かぶ。 千寿郎、千寿郎...
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真白の雲と君との奇跡10

ひとしきり千寿郎を抱きしめて泣いたあと、義勇はようやく顔をあげ、杏寿郎に向かって少しバツ悪げに笑ってくれた。 どうしようとうろたえていた千寿郎には悪いが、義勇が微笑んでくれて杏寿郎は胸を撫でおろす。ほんのちょっぴりのヤキモチは、決して口には...
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真白の雲と君との奇跡(加筆修正済みまとめ読みバージョン)

第1話 梅雨が明け、七月も半ば近くともなると、照りつける陽射しも強くなり暑さが増した。すっかり季節は夏だ。六月にはまだ出番が多かった長袖のシャツやベストも、七月に入ってからは目にするだけで暑さが増す感がある。 公私ともに服装はめっきり夏仕様...
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午睡

「義勇、眠いのか?」 不意にかけられた声はちょっぴり心配そうだ。義勇は重くてたまらないまぶたをどうにか押し上げた。卓袱台の向かい側で見つめてくる杏寿郎は、思ったとおりちょっと心配顔だ。 杏寿郎の部屋にエアコンはなくて、少し古びた扇風機がブー...
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満天の星と恋の光 1

関東直撃はまぬがれたものの、台風のせいで二日ばかり悪天候がつづいた、その翌日。空は濃い青さを取り戻し、太陽はギラギラと照っている。今日も暑くなりそうだと、窓から差し込む眩しい陽射しに、杏寿郎は掃除機をかける手を止め目を細めた。 八月に入って...
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満天の星と恋の光 2

眩しいというよりも、いっそ刺し貫いてくると言いたくなるよな強い日差しの下であっても、義勇の白く整った顔は、どこか涼やかな清流を思わせる。それが、ちょっと驚いたようなびっくりまなこであってもだ。 もちろん義勇は人形やアンドロイドではないので、...
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満天の星と恋の光 3

真っ赤になって絶句している杏寿郎を、義勇と千寿郎がそろって不思議そうに見ていた。見やる視線はちょっと心配そうでもある。 だが、理由など言えるわけもない。杏寿郎自身、なににこれほど動揺しているのは、説明するのは困難だ。母だけが訳知り顔でクスリ...