ミスドにいるとあの山下達郎の歌に触発されるのか、頭の中がういういカポー(初々しくて可愛い、愛い奴らじゃのぅ(*´∀`) とニマニマしちゃうようなカップルを、そんな風に呼んでますw)で埋め尽されそうになります。
最近朝御飯をミスドで済ませる事が多いので、朝っぱらからニヤニヤしてて、かなりヤバい人状態です(^_^;)
サンゾロでさ、高校生の二人とかね。
甘い物好きなんだけど、ケーキ屋とかは恥ずかしくて寄れないゾロの、憩いの店がミスドだったりするの。
通りから見える席で嬉しそうにドーナッツにかぶりついてるゾロに、サンちゃん一目惚れしちゃえばいいよ。
学校も違うから名前も判らなくて、今日もいんのかなって、毎日遠回りして帰ればいいじゃない。
勢い余ってミスドでバイトしちゃえ。
ゾロが持ってる剣道の防具袋で名前ゲット。頼むのはいつもドーナッツ3コとジンジャーエール。毎回必ず1コはエンゼルクリーム。そんなことを少しずつ知っていって幸せに浸ればいいよ。
口の周りに砂糖とクリームつけて、幸せそうに食べるのを、可愛いなぁってドキドキしながらコーヒーのお代わり片手に見に行けばいい。
コーヒーのお代わり聞いてまわりながら、アメリカン頼んでくれりゃゾロにも声かけられんのにって、ちょっと唇尖らせちゃったりしてさ。
でもって、前は多くても週2回位しか来なかったゾロが、毎日来るようになるんだ。
サンちゃん最初は浮かれまくって、毎日シフト入れちゃうんだけど、だんだん不安になっちゃって。
もしかしてバイトの中に好きな娘でもいんのかな。俺と同じ時期に入ったビビちゃんとか……。ビビちゃん可愛いし、いい子だし、ゾロが好きになってもおかしくねぇよな。それとも社員のロビンちゃんかな。スッゲェ美人だし、知的なお姉様に憧れるっての、判るしなぁ……。
なんて、ぐるぐる悩めばいいよ。
で、ある日ゾロがいつものジンジャーエールじゃなく、アメリカン頼むの。あれ? って思いつつ、サンちゃんがドキドキしながら「お代わりいかがですか?」ってゾロに声かけると、ゾロってばじっとサンちゃん見上げて「あ……ありがと……」って、小さな声で言ったりして。耳赤いんだよ。すぐに俯いて仏頂面してんだけど、耳真っ赤なの。
サンちゃん訳判んなくて、でもゾロの声聞いたのは、会計でお召し上がりですかって訊いたときに答える「はい」だけだったから。ありがとって言われたのが嬉しくてたまんなくなるの。
砂糖とミルク要らないって首振って断ったくせに、ゾロってばブラックのままコーヒー一口飲んで、ちょっと眉間に皺寄せちゃうんだよ。あ、やっぱり苦いのかなぁって、サンちゃん一度カウンターに戻った後でまたゾロのとこに来て「お客様すいません。今日のアメリカンいつもより少し濃くなってしまったようですので、よろしかったらお使い下さい」って砂糖とミルク差し出すの。他の客に気づかれないように小さい声でね。
ゾロ真っ赤になっちゃって。でも、またありがとって言って、笑うんだよ。サンちゃん舞い上がっちゃえばいい。
で、次の日からゾロの注文がカフェオレになるんだよね。サンちゃん毎日お代わりいかがですかって声かけて。1週間くらいしてから、勇気出して「いつもご来店ありがとうございます。ドーナッツお好きなんですね」って言ったら、ゾロ、ビックリした顔して真っ赤になった後、一瞬だけ泣きそうな目になってね。
俯いて「ああ……」って。
サンちゃん、またもや訳分かんなくなっちゃってさ。まぁたぐるぐるぐるぐる悩んじゃうんだ。
嫌味に聞こえたんだったらどうしようとか、本当に好きなのはドーナッツじゃなくてやっぱりビビちゃんだったりすんのかなとか。
で、その日に限っていつもより長くゾロ店内にいたりして。サンちゃんがバイト上がる時間になってもまだいるゾロに、ますます不安になっちゃえばいい。
大急ぎで帰り支度して店内見たら、ゾロも丁度店を出たところで、どうしようって悩みながらも気になって、後つけちゃえばもっといい。
ストーカーみてぇ、クソカッコワリィって、自己嫌悪しつつ、なんだか落ち込んで見えるゾロの背中に我慢できなくなっちゃえばいいよ。人気ない夜の公園に入ったところで、思いきって声かければいい。
ビックリするゾロに、なんかいつもと様子が違って見えたから、なにか失礼なことしましたか? って訊いたら、ゾロ、ブンブン首振って。そんなことないって、小さな声で言ってね。
「良かった……なんか気を悪くさせること言っちまったかと思った。もう来てくれなくなるかもって、クソ心配になっちまって……」
「え……?」
「あ、いや……っ」
二人して真っ赤になって、でも、それじゃって慌て別れるのは淋しくて。どちらからともなく一緒に歩き出すの。二人とも制服だといいな。ゾロが学ランでサンちゃんはブレザー。最寄り駅は一緒なんだけど、ミスドはゾロの学校寄り。サンちゃんの学校からだと、駅を通り過ぎた場所なんだ。
駅まではまだもう少し歩かなくちゃいけなくて。サンちゃん、話題! なんか気の利いた話題出さねぇと! って焦っちゃって。
「あのさ、甘いモン好きなら、駅前のベルメールとかも行く?」
「いや……ああいうケーキ屋って、女ばっかで入りづれぇし……」
「ああ、ミスドならリーマンとかも一人で来てたりするもんな。でも、あそこのオレンジケーキ、お薦めだぜ? ここらじゃイチオシ!」
「……あんたも甘いモン好きなのか?」
「あー、俺、パテシィエになるから」
「パテシィエ?」
「ケーキ職人。うちのクソジジイがレストランやってて、俺さ、客がクソ幸せそうにデザート食うの見るのが、ガキの頃から好きだったんだ。だからケーキの食べ比べも修行みてぇなもん。大抵の有名どころは食ってるぜ。小遣いの大半はケーキ屋巡りで消えるし」
「……そこまですんのか、すげぇな」
「……やっぱ、呆れるよな」
「いや……夢の為の努力だろ? けど、それならミスドよりそのなんとかって店とかのほうがいいんじゃねぇのか? ミスドも接客のほうだし……作るほうが修行になりそうじゃねぇか。それに、あの店、あんたの学校からだと駅通り過ぎるから、通うのも大変そうだし……」
焦るよね、サンちゃん。まさか、たまたま近くの友達の家に行った帰りに、ミスドでドーナッツ頬張るゾロに一目惚れしたからだなんて言えっこない。
「それは、その、ほらっ、あの店可愛い子ばっかだろ? ビビちゃんとかロビンちゃんとか。一緒に働くなら素敵なレディ達とのほうがいいじゃねぇか。ゾロも誰かお目当ての娘いるんじゃねぇの?」
「……なんで、俺の名前……」
「あ……ご、ごめんっ。その袋に書いてあるから、つい、その……覚えちまって……ほら、あんた常連だしさっ。あ、えっと、俺の名前は……」
「知ってる……サンジ、だろ? ミスドの制服に名札ついてるから……」
ちょっと俯いて、なんだか恥ずかしそうに言われたりしたら、サンちゃんまた舞い上がっちゃうね。
ゾロが名前を覚えてくれてた。しかも、名前を呼んでくれた。もしかして、ゾロも俺のこと気にしてくれてた? すっげぇクソ嬉しい! って。
「あの……名前も知ってるわけだし、その……友達に、なんねぇ?」
今までどんな女の子にした告白より、ずっとドキドキしながら言えばいいよ。一瞬ぽかんとしたゾロも、照れくさそうに笑って頷けばいい。
友達になってから、毎日サンちゃんがバイト上がる時間に合わせて、ゾロも帰るようになるの。駅までの道を、お互いの学校のこととか、ケーキのことやゾロの剣道のこと話しながら。サンちゃんにとっては幸せなんだけど、でもやっぱりちょっと切ない。
いつか好きだって……言えるわけねぇか、男同士で気色ワリィって避けられんのがオチだもんな……って、落ち込んだりもして。
けど、それでもゾロと少しずつ親しくなってくのが嬉しくて、ゾロがこない日曜日にシフト入れられると、溜息ばっかりついてビビちゃんに心配されちゃったりする。
たまに来るビビちゃんの友達のナミと、サンちゃんも仲良くなるんだけど、「お友達の剣士さんが店にお見えにならないと、サンジさん調子が出ないみたいで……」とかビビちゃんに言われちゃって。ゾロとナミは同じ学校で、ゾロが剣道では全国レベルで有名なこととか教えられて、サンちゃん、またぐるぐる悩みだしちゃう。
あのぐる眉で生まれた時点で、ぐるぐる悩むのはサンジの宿命です(笑)
部活、かなり厳しいらしいのに、なんで毎日店にくるんだろう。やっぱり誰か好きな子がいんのか? ゾロは大学や企業からのスカウトもくるぐらいの有名人なのに、俺はこんなバイトしてていいのか? もっと腕磨ける場所で働いたほうが……けど、そしたらゾロに逢えなくなる。ケーキ屋じゃゾロはきてくれっこねぇし。持ち帰り専門の店じゃ、もし来てくれても顔を見られるのはクソ短い時間だけだし……って。ぐるぐるぐるぐる、悩みまくり。
青い。青いなぁ! えぇい、愛い奴め(笑)
それはともかく。
ある日、いつものように一緒に帰る最中に、サンちゃん思い切って、次の日曜バイト休みだからどっか行かねぇ? ってゾロを誘ってみるのね。友達とはいえ、ちゃんと話ができるのはミスドから駅までの道のりだけ。ミスド辞める事にしたら下手するともう逢えなくなっちゃうかもしれないから、もっと仲良くなっておきたいって、不安になって誘ったんだけど。
「……悪い、その日試合だ」
「じゃあ応援に行ってやるよ。試合終わってから遊び行こうぜ」
「ミーティングあるし……第一、そんな金ねぇよ。俺ん家小遣い少ねぇんだ」
困ったように笑うゾロに、サンちゃんまた不安になっちゃうね。それなのに毎日ミスドに来てたのはなんで? って。
で、落ち込むのと同時に、ちょっとムカついちゃったりもする。俺ってゾロのなに? 一緒に遊びに行くことすらできねぇで、本当に友達だって思ってくれてんのか? 一度くらいいいじゃねぇかよ! って、自分でも勝手なこと言ってると思うんだけど、ムカつきがとめられない。
「金ねぇって、毎日店来てんじゃねぇかよ。カフェオレのがジンジャーエールより高いのに、毎日頼んでっし。あー、カフェオレならお代わり持ってビビちゃんやロビンちゃん回ってくんもんな。硬派ぶってても女の子目当てでミスドかよ。クソカッコワリィ」
「……んだと? てめぇ、なにいきなり絡んでんだよ!」
ことサンちゃんに対して特に短気なのは、ゾロの特性(笑)瞬間湯沸かし機並。すぐに頭に血が昇る。でもってサンちゃんもそれは同じこと。ゾロの言葉への反応は、コンコルドより速いからね。元々ムカついてたのもあって、言いすぎたかなって反省もどこへやら、も、すぐさまカッチーンってきちゃいます。
「本当のこと言っただけだろうが、クソマリモ!」
「誰がクソマリモだ、この素敵眉毛! てめぇみてぇに女相手に鼻の下伸ばしてる男ばかりじゃねぇんだよ! 毎日毎日デレデレしやがって……見てらんねぇっての!」
「誰が鼻の下伸ばしてるって!? あぁ!?」
「てめぇだ、てめぇ! いっつも女相手だとサービス過剰なぐらい笑顔振りまいてるくせに……俺がどんな思いで見てると思ってやがんだ、ふざけんな! このエロ眉毛!」
「そりゃこっちの科白だってんだよ、クソマリモ! レジがビビちゃんやロビンちゃんのとき、てめぇ俺のときより絶対格好つけてやがんだろうが! ただでさえてめぇ、ビビちゃん達にクソ評判良いんだからな! てめぇを好きになったのは俺のほうが先だってのに、冗談じゃねぇってんだよ! あー、クソッ! てめぇみてぇにクソ鈍い奴に惚れたおかげで、わざわざあんなとこまでバイトに行ってる俺が馬鹿みてぇだ!」
「そりゃこっちが言いてぇよ! ただでさえ少ねぇ小遣い、てめぇに逢うために毎日ドーナッツに消えてんだぞ! てめぇが回ってくるかもしれねぇからって、何杯もカフェオレ飲んでる所為で胃の調子悪ぃし、なんでてめぇなんかに惚れたんだか自分でも判んねぇよ! 死ねっ、このエロ眉毛!」
「その科白そっくりそのまま返してやらぁ、クソマリモ!」
頭に血が昇りすぎです(笑)もうね、相手の言葉どころか、自分がなに言ってんだかもお互い判ってない。あほの子です(笑)
ギリギリ歯軋りしながら睨みあって、ふんって顔背けあって。二人して駅に向かって歩き出すんだけど、腹立ってるから勢い急ぎ足になるのね。
で、ついてきてんじゃねぇ! ざけんなそりゃてめぇだろ! って怒鳴りあいながら、いつの間にか二人して全力疾走。負けず嫌い同士だから、そりゃもう必死(笑)
駅に着いたら、電車は反対方向。お互い息切らしながら、階段の前でちらっと顔見合わせあって、またふんって背けてね。
電車に乗ってる間も、家に帰ってからも、ムカムカして、苛々して。
ふざけんなってんだよ、あのクソ野郎! なにが俺に逢うため…………って、あれ?
え? ちょ、ちょっと待った! あれっ? え……あいつ、さっきなんて言ってた? …………えええええっっっ!?
と、漸く言葉の意味理解して呆然とすればいいよ。頭真っ白にして。でもって自分がなに言っちゃったかも思い出せばいい。勢いで罵声の告白。最低最悪。明日になってどんな顔してゾロに逢えばいいんだって青褪めて。っていうか、ゾロ来てくれんのか? あんなこと言っちまって嫌われたかもって、泣きそうになって。
ゾロも自分のこと好きでいてくれたのが、信じられなくて。でも、じっとしてらんないぐらい、嬉しくて。夜中までぐるぐるのた打ち回っちゃえばいい。
その挙句に、どうしても明日の放課後まで我慢できなくて、自転車飛び乗って夜中だってのに小一時間かけてミスドに行っちゃうんだよ。
「……バッカみてぇ、いるわきゃねぇっての。あー、クソッ、なにやってんだ、俺……」
って、肩で息しながらハンドルに顔伏せて。心のなか不安と嬉しさでいっぱいにして。
暫くそうしてから溜息ついて、帰ろう、明日ゾロが来てくれたら謝ろう、もし来てくれなかったらゾロの学校まで行って土下座でもなんでもしようって思ったときに、自転車のブレーキ音が聞こえるの。
「ゾロ……」
「……てめ、なんでいんだよ……」
ゾロも肩で息してて、顔上気してて。お互いそれ以上言葉が出ない。逢えて嬉しいんだけど、さっきの喧嘩の皮被った告白合戦思い返すと、どうにもこうにも恥ずかしいし、なに言ったらいいのか判らなくなってるの。
とっくに閉店して灯りの消えたミスドの前で、二人揃って俯いちゃえばいいよ。とにかくなんか言わなきゃって思えば思うほど、言葉が出てこなくて、結局、サンちゃんが口にできた言葉は「……咽喉、渇かねぇ?」でさ。ゾロがなにも答えないうちに自転車降りて、自販機で缶コーヒーとジンジャーエール買ってくるの。
「ほら……」
「……ん」
って、ゾロも差し出されたジンジャーエール受け取って、言葉はないまま、なんとなくミスドのドアの前に二人で腰下ろしてね。お互いの缶が空になるまで、無言。
「……あの、さ」
「……なん、だよ……」
「俺、てめぇのこと……好き、なんだ……」
「……うん」
「だから……その、てめぇも俺のことまだ、好き、だったら、だけど……俺ら、恋人に、なんねぇ……?」
サンちゃん、言いながら泣きそうになってればいい。不安とか怯えじゃなく、かといって嬉しさでもなく、自分でもなんでなのか判らない涙が零れそうになるのを、一所懸命我慢して言えばいいよ。
で、恐る恐るゾロを見たら、ゾロは頷いてくれて。笑ってるの。「泣いてんじゃねぇよ、バーカ」って言いながら。でもそんなゾロの眼も、涙の膜でキラキラ濡れて輝いててね。
そのまま二人ともなんにも言えなくなって、そーっと顔近づけあって、そっとそっと、キスすればいいよね。
触れるだけの、エンゼルクリームより甘いキス。
って。ここまで語っておいてなんだけど。
これで小説書けばよかったんじゃね? 私
あら? あれ? もしかして、ネタ1本無駄にしましたか? あっらぁ~?
た、楽しかったから、いいんだもん! も、萌えたから、いいんだもん……っ!
…………私の馬鹿…………_| ̄|○