11月19日付で感想メルフォにていただきました。今回も青文字がいただいた感想となります。
いっぱい挙げてくださってありがとうございます💕
えー、ほかの方も、こういうふうにコピペするだけでいいんだと思われたら、良ければメルフォのほうもご活用ください。印象に残った箇所が一つなら一つだけでも全然かまいませんので、よろしくお願いします(要は感想くださいのおねだりだな……欲しがりですみませんです💦)。
「真白の雲と君との奇跡」の前後編を加筆修正されたと知り、Pixivで拝見させて頂きました!
“大好きの”シリーズで、「真白の雲と君との奇跡」は二人の関係性において大きな転換をもたらす出来事が起こるところで、かつその場面が何とも純粋で美しくて、大好きな場面の一つです。
“大好きの”シリーズ、このお話以外にも加筆修正されていますが、どれもプラスの方向に加筆修正されているものばかりだと思います。がっかりしたことがないです。(読ませて頂く身なのに、偉そうにすみません)。
このお話については一度感想をお送りしているので、今回は、特に好きなところや印象的な文章を抜き出すことで、私のこの作品が好きな気持ちをお伝えできればと思います!
前編
1ページ
薄暗い下駄箱から一転した眩しさに、思わず杏寿郎は眼前に手をかざし、目をすがめた。
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「日射しがキツイな。義勇、大丈夫か?」
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義勇も少しだけ目を細め、小さくうなずくと、すっと手の甲でひたいをぬぐった。
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思わずブンと振った手を、義勇の視線が追う。正しくは、杏寿郎が持っている弁当箱を。
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「まぁ、順番的に義勇のほうが早く終わるし、俺が終わるまで待たせてしまうことになるからな。無理にとは言わん。だが、母も義勇と逢いたがっていることは覚えておいてくれ。それと、父と千寿郎もだ!」
「……なんで?」
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校舎の裏手にある非常口で、宍色の髪の男子生徒が手を振っている。その姿が目に入ったと同時に、義勇と杏寿郎はそろって足を速めた。弁当を揺らすわけにはいかないので、あくまでも速歩きだ。そんな杏寿郎と義勇に、男子生徒――錆兎は、どこか愉快げに見える苦笑を浮かべていた。
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「いつまで経っても食べるの下手だよなぁ、義勇は」
「……ほかの人に見られるわけじゃないから、べつにいい」
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「杏寿郎はやさしいから怒らない」
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「それ、俺も不思議。義勇のほっぺって、ご飯粒だのパンくずだのを引き寄せる磁力でもあるんじゃないかってぐらいだもんな」
「……そんなものあるわけない」
少しばかり機嫌をそこねたか、義勇はちょっぴり唇を尖らせてむくれている。
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残った唐揚げを義勇に差し向ければ、キョトンとまばたきしつつも、義勇は素直に口を開けた。
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微笑ましく思っていれば、義勇は、玉子焼きをつまんだ箸を杏寿郎に向けてきた。
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「うまい! 錆兎の母上も料理上手だな!」
「……唐揚げ、うまかった」
「仲良しだな」
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中学に上がってかまってやれる時間が減ってしまったぶん、千寿郎とだって遊んでやりたいところだ。
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ガシリと手を取り高揚した笑顔で言った杏寿郎に、義勇は、何秒間か固まっていたけれど、コクンとうなずいてくれた。
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パチパチとせわしなくまばたく義勇の目はまん丸で、きれいな青いっぱいに、杏寿郎の満面の笑みが映っていた。
2ページ
庭木の緑はキラキラと光って、風に揺れている。まだ控えめな蝉の声にまじり、雀の愛らしいさえずりも聞こえてきた。爽やかな夏の朝。
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夏休みの予定に入れてもらえなかった錆兎はといえば、少し驚いた顔をしたが、反対はしなかった。
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義勇は礼儀正しいし、無口で無愛想ではあるけれども、穏やかでやさしい人なのだ。麗しいという言葉がしっくりと似合う男子中学生など、杏寿郎は義勇しか知らない。義勇は姿形が美しく整っているだけでなく、心根がまっすぐだし謙虚で芯の強い人だ。麗しい人とはまさしく義勇のためにある言葉だと杏寿郎は思っている。
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虚栄心など無縁の杏寿郎だが、なぜだか義勇にだけは、少しでもいいところを見せたいと思ってしまう。
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義勇の言動ひとつで、杏寿郎の感情は簡単に浮き沈みしてしまうのだ。
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そんな相手はほかには誰もいない。義勇だけだ。義勇にだけ、杏寿郎の胸はトクトクと甘く高鳴ったり、キュウッと締めつけられたりする。
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道場の、静謐で神聖さすら感じられる張りつめた空気が、杏寿郎は好きだ。
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たしかに義勇はきれいでかわいらしいけれど、れっきとした男子だ。杏寿郎よりもちょっぴり背だって高い。本音を言えばちょっと悔しい。
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「はい、義勇は俺の好きな子ですが? 女子ではありませんが、義勇のことが大好きです! 一番大好きな友だちです!」
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思わず聞き返せば、父は苦笑し、ポンポンと杏寿郎の頭をなでた。
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いつだって笑っていてほしいし、悲しい思いをしてほしくない人。いつでも一緒にいたい人。家族をのぞけば、杏寿郎にとってそれは義勇だ。一番大好きで、誰よりも大切な友だちだ。
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気を取り直して急いで駆け寄れば、義勇も杏寿郎に気づいたようだ。まっすぐに杏寿郎に向けられた瞳が、わずかに微笑んだ気がする。
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「……杏寿郎は、オレンジ色が好きなのか?」
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首をかしげた杏寿郎に、義勇は、傍目にはわからぬぐらいの微笑みを浮かべた。
「初めて逢ったときも、オレンジ色の上着だった」
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ふくれ上がる歓喜は面映ゆく、杏寿郎は、自分が着ているTシャツを意味なくちょっと引っ張ってみた。
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そろりと上げられた上目遣いの瞳は、ちょっぴり不安そうに見えた。
「……やっぱり、制服じゃおかしかったか?」
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とまどう青い瞳が、杏寿郎の手を映している。
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そっと義勇の手が杏寿郎の手に触れた。
「はぐれないように?」
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「映画のセットみたいだ」
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「……かっこいいって、言うつもりだった」
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視線をやれば、千寿郎は上がり框に立つ母の足に隠れて、ちょこんと顔だけ出してふたりを見ていた。
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寂しいと杏寿郎が思う間もなく、義勇は居住まいを正し、ペコリとお辞儀していた。
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失礼しますと足を進めた義勇は、正面を向いたまま靴を脱ぎ、上がりこんだ先で斜めに膝をつくと靴をそろえた。
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パチリとひとつまばたいた義勇が、ふわりとはにかむように微笑んだ。けれども少しだけ、痛みをこらえているようにも見える。
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「兄上と義勇さんは仲良しなのですね。千も幼稚園でいつもお友だちと手をつないでます」
千寿郎の楽しげな言葉に、たちまち義勇の目元がうっすらと赤く染まった。
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通りすがりの他人の目は気にならずとも、杏寿郎の家族相手だと、子供のようにつないだ手を恥らう。
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「……うん」
ほんの小さな声でつぶやいて、かすかにうなずいた義勇の目尻は、先よりも赤味を増している。耳も淡く色づいていた。手を離す気配はない。それどころか、義勇はおずおずと杏寿郎の手を握り返してきた。
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義勇は、まだ手を離そうとはしてこない。上目遣いにちょっぴり杏寿郎を睨みつけても、だ。
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おずおずとした千寿郎の言葉に、義勇が反対の手でそっと千寿郎の手を取る。
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うれしそうに義勇に話しかける千寿郎には屈託がない。だが、義勇はどうだろう。杏寿郎は不安を覚えたけれど、ちらりと向けられた義勇の青い瞳に、非難めいた色は見られなかった。
義勇の答えをドキドキしながら待つ。すぐに千寿郎へと視線を戻して言った義勇の声にも、不快な気配は欠片もなかった。
「……おもしろかったか?」
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もっと大人になりたい。義勇を悲しませるものすべてから、義勇を守れるぐらい、頼りになる大人に。
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無邪気に笑って話しかける千寿郎に、小さく相槌を返す義勇の口元には、わずかな微笑みが浮かんでいる。幼い千寿郎の相手をするのは、まだ戸惑いのほうが大きいのだろう。義勇の微笑みはいくぶんぎこちない。けれどもやさしい笑みだった。麗しい人。そんな言葉がまた浮かぶ。
義勇の少しだけ固さの残る微笑みを見つめ、杏寿郎は、胸に強く誓う。
いつかはきっと、と。必ず、義勇がいつでも花のように笑っていられるように、強い男になってみせるのだと。
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「義勇は虫が苦手なのか?」
聞けばふるりと首を振る。
「あぁ、虫を殺すのが嫌なのか」
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ふたりは勉強するのだからと母に言われ、素直に自分の部屋に戻っていたのに、めずらしいこともあるものだ。聞きわけの良い千寿郎が、こんなおねだりをするのは初めてかもしれない
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「すまない、義勇、いいだろうか」
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「宝物?」
なんだと問うような視線を義勇に向けられ、杏寿郎は、アレかと笑った。
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「兄上、千も一緒に行ったら駄目ですか? 一緒に石拾いしたいです」
「……千寿郎の頼みでは、断れんな」
「俺のときと態度が違いすぎないか? 杏寿郎?」
3ページ
『真菰っ、なんでおまえが電話に出てるんだ』
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『もしもし、杏寿郎?』
少し焦ったような声が聞こえてくる。義勇のこんなあわてた声なんて、学校では聞いたことがない。表情もいつもとは違うんだろうか。電話なのがちょっぴり残念に思うけれども、それよりも、ザワザワモヤモヤと心が落ち着かなくて、杏寿郎の声はいつもより少し低くなった。
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『かまわない。なにか用か? 週末のこと?』
「あ、あぁ。千寿郎がな、一緒に行きたいと言ってるんだが……大丈夫だろうか」
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『遠いんだろう? 千寿郎くんがつらくなければ俺はかまわないが……あの、でも、あんまりおしゃべりとかしてやれる自信がない。俺と一緒じゃ千寿郎くんが退屈しないか?』
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『真菰がなにか失礼なことを言ったか? その、なにを言われたのかわからないが、気にしないでくれ。大好き……なんて、迷惑だっただろう? 勝手に真菰が言ってるだけだから』
「違うのかっ!? 義勇は俺のことを大好きだと思ってはくれないのか!?」
『えっ? あ、あの……』
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『今の声のほうが大きい。でも、いつもの杏寿郎らしい。なんかホッとした』
クスクスと忍び笑う義勇の声は、いつもよりも近くに聞こえる。
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義勇のことになると、自分の感情だというのに制御ができなくなる。どうしてこうもままならないんだろう。
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『うん。千寿郎くんに一緒に行くの楽しみにしていると伝えてくれ』
前編後編まとめてと思っていたら、前編だけでとても長くなってしまったので、後編はまた改めて送らせてください。
いやもう……こんなにいっぱい挙げてくださり、本当にありがとうございますっ! 拝んじゃう🙏💕
なんか、こうして挙げていただくと「煉獄さん(義勇さん)の心情が、ちゃんと読者様に伝わるかな。でもこれ以上書くと説明になっちゃう💦」と、不安になりつつも簡潔にした箇所とかが、ちゃんと伝わってたんだということがわかりますね。ありがたやありがたや🙏
心理描写として書かずとも、互いへの気遣いや思い遣り、周章や緊張など、一瞬一瞬にそれぞれ心があるわけじゃないですか。でも、いちいち書くと冗長すぎて書けない。そういう部分を、セリフや仕草の描写で伝えられるのが、文章が上手い人の特徴だと思うんです。
私の文章では未熟すぎて、わかりにくいと思われる方のほうがはるかに多いと思いますが、それでもこうして挙げていただいたことで、少し安心できました。
たとえば挙げてくださった > 「日射しがキツイな。義勇、大丈夫か?」 とか >『もしもし、杏寿郎?』 少し焦ったような声が聞こえてくる。とか。
セリフだけで杏寿郎が義勇をまず気遣うのが当然になっていることや、初めて杏寿郎からきた電話に義勇がちょっと緊張して、でも少し浮かれてもいてっていうのをね、私としては伝えたかったわけですよ。でも、一から十まで書くわけにもいかない。ましてや義勇さんの心情については、視点が杏寿郎固定である以上、書けない。それなりに葛藤があったのです。
こういう、小説全体から見れば些細な文章だけれども伝われと念じながら書いた箇所を、丹念に拾い上げてくださって本当に嬉しかったです!
もちろん、私としては狙った文章というのもあるわけで。 > 義勇は礼儀正しいし、無口で無愛想ではあるけれども、穏やかでやさしい人なのだ。 ここの一連の文章とかね! この話を読んでくれている人たちは同意するじゃろ? むしろ異論は認めん! ぐらいの勢いで「私と煉獄さんにとって義勇さんはこういう人なの!」という信念(というと大げさですが(^_^;))を思い切りこめて書いた箇所だったので、見た瞬間ガッツポーズしちゃいましたw
> 「俺のときと態度が違いすぎないか? 杏寿郎?」 ここの会話とかもw これは決まっただろと自画自賛してたので、気分はI win!! 讃えよわが名を! レベルで悦に入っちゃったりしております、はい(ほかの方から以前いただいたものにあった「笑顔魔人」も同様でしたw)。
逆に >「映画のセットみたいだ」 >「……かっこいいって、言うつもりだった」こことかは、意外でビックリしました。
とくに考えることなく書いたセリフでしたから、読み手さんも、特別思うところなく読み進めるだろうと思ってたんですよ。
挙げてもらって改めて考えると「あ、私、義勇さんが言うならこれ以外ないと思って書いたんだな」と気付かされました。
お金持ちそうとかいう言葉は出てこないんですよね。お屋敷と言っていい家を見て、思い浮かべるのは映画のセット。やっかみでなく、かっこいいと素直に思う。こういう感想を持つのが義勇さんだと私は思っているんだなぁと。
印象に残る箇所として挙げていただいたことで、間違ってないよと肯定してもらえた気がします。ありがとうございます💕
あっ💦もちろん、メル主さまの感想が異なっていたとしても、全然かまいません! 読んでいただいた時点で自由な解釈をしてもらうべきですから。書き手の意図した解釈でなくても、無問題。もしもそういう意味で挙げたわけじゃなかったとしても、お気になさらずに💦
いやまぁ、なかには怒っちゃう書き手さんもいらっしゃるし、自分の意図と違う受け止められ方をしたとショックを受ける読み手さんもいらっしゃるかもだから……うーん。もしかしたらこういうお返事は良くないかもしれないですね💦
感想のハードルが高い理由の一つは、これだなぁ……。
えっと、お返事の最中で他の方々へのメッセージにもなっちゃってすみませんが、もしも自分と書き手側の解釈が違ったら嫌だと思われるようでしたら、どこかに返信不要の一言をよろしくお願いします。お礼の一言に留めるようにいたしますので。
……メルフォに返信不要かどうかのチェックボックスでもつけるべきかなぁ。できるかどうかわからんけど💦
またもや長々としたお返事になっちゃって、申し訳ないです💦
さらに自分語りになりますが、少しだけ続けさせてください。
正直なところ、自分の萌えを形にしたいというのは書く理由にはなりますが、書きつづける理由としては弱くてですね……壁打ちが楽しいのは、ぶっちゃけ最初だけなんですよ。どれだけ綺麗事や理想論を並べようと、受け止めてもらえないボールを投げ続けるのはつらいし、ふとした瞬間にポッキリと心が折れたりもします。見てもらえてるかすらわからないのに、ネットに上げる意味はないですから。
だって、書くのが楽しいだけなら、大学ノートやPCやスマホのメモ帳に書くだけでいいですからね。ネットにあげている時点で、誰だって読んでもらうことを想定しているわけです。
感想じゃなくとも、いいね一つ、ブクマ一つの反応こそが、書き続ける理由になり得ます。読んでもらえた。気に入ってもらえた。次も読んでもらいたい。楽しんでもらいたい。そう思うからこそ、書き続けられるんです。ましてや、読み手さんの貴重な時間を費やして書いてくださった感想なんていったら……読み手さんが思う以上に、書き手の感謝は尽きません。少なくとも、私はそうです。
いつも感想をいただくたび、書いてよかったとこちらこそ感謝しております💕
遅筆に拍車がかかってますが、少しでも楽しんでいただける作品をお届けできるよう、私なりに書き続けますので、これからもお読みいただければ嬉しいです。
本当にありがとうございました!💕