えー、溜め込んでしまったお返事をまだ返し終えていないのですが、ちょうど執筆状況を公開している『いのちみじかし』についてのご質問ですので、順番は前後しますがお答えしたいと思います。
OBA様、本日の深夜に感想をお送りした際、お尋ねするのを忘れました。
ショパンのノクターンというと
第2番 変ホ長調 Op.9-2
嬰ハ短調「遺作」
の2曲が有名ですが、作中で出てくるショパンのノクターンは
どちらでしょうか?
>やわらかく穏やかなピアノの調べ
とか
>やさしい曲
とあるので、第2番の方かなとは思うのですが、二人が耳にしている曲なので
ちゃんとOBA様に確認しておきたいなと思い、質問しました。
ご質問ありがとうございます。こちらの前に返信不要でいただいたご感想もありがたく拝見いたしました💕あわせてお礼申し上げます。やる気出ました! 読んでくれてる人がいるって幸せですね💕
さて、ショパンのノクターンなんですが、以前ブログにあげた年表に記載してある『ヴラディミール・ド・パハマン奏 19番 Op.72』しか、じつは確認が取れなかったんですよねぇ……。
『第2番 変ホ長調 Op.9-2』のほうがイメージ的にあうので、輸入していた事実があるか調べたんですが見つからず、かといって前述の『19番Op.72』だと哀惜の色濃い曲調で、あのシーンには今ひとつ合わない。
こちらはショパンが最愛の妹を亡くした悲しみのなかで作った曲らしいので、それはそれで蔦子さんや煉獄さんの行く末とのリンクを感じさせなくもないですが、恋の始まりにそれは……ねぇ(´・ω・`)
ということで、史実に基づかぬ捏造になりますが、二人で聞いた思い出の曲となったのは『2番 変ホ短調 Op.9-2』で当たりです。
ちなみに、明治43年(1910)に発足した日本蓄音器商会(ニッポノホン/現・日本コロムビア)が国産レコードを発売するまで、レコード(この呼び方もM41までは『写声機平円盤』という名称だったらしいです)は日本での演奏であっても輸入物だったそうですよ。海外の録音技師が機材とともに来日して、ホテルの一室などをスタジオ代わりにして録音、原盤を持ち帰り製品化して日本に輸出という形を取っていたんですって。思った以上に大変💦
お値段は明治36年(1903)の輸入レコードは片面だけの録音で1円75銭~なんと5円! 当時の郵便はがきが1枚1銭、駅弁15銭。東京の尋常小学校教員の初任給が10円~13円の時代ですから、かなり贅沢品ですね。
作中の大正4年でも、1円50銭(前年から両面盤が一般化したようですが)、初任給についてもほぼ変わりないようなので、レコードを聞くだけのことが見世物として十分成り立っていたんでしょうね。
蛇足ついでに歌舞伎座の観劇料は大正4年では45銭~2円80銭。ただし上等桟敷にはこれにお茶代や煙草盆代などの案内料がプラスされるようですが。それでも、3分前後程度しか聞けないレコード1枚のほうが、かなりお高く感じちゃいますね。蓄音機にいたっては国産ですら30円ですし(^.^;
ともあれ、そんな時代のなかで、ほんの数分とはいえ鬼殺のことを忘れて二人で浸るなら、悲しみが色濃い曲よりも優しく穏やかな曲であってほしい。
そんな理由もあって、ショパンのノクターンといえば真っ先に思い浮かべる人が多いであろう『2番 変ホ短調 Op.9-2』を思い浮かべながらあのシーンは書きました(*^_^*)
今よりも録音技術もそこまで優れたものではなく、ノイズ混じりのノクターンでしょうけれども、煉獄さんと義勇さんの恋を優しく彩ってくれたことを信じたいところです。思い出すときは涙よりも微笑みで。そんなイメージもありましたね。
曲も違いますし当時より後のものだと思いますが、パハマンが演奏したノクターンの音源をあげているサイト様を見つけましたので、よろしければこちらもご参考までに。ノイズ混じりの音がいい感じに当時を想像させてくれます。
腐向けサイトからリンクを貼るのはなんですので、コピペで飛んでくださいませ💦
www.analog-classicalmusic.tech/record/pachmann92/
亀の歩みより遅い執筆ペースではありますけども、ご満足いただけるラストを目指して頑張りますねっ(`・ω・´)ゞ